横溝正史『八つ墓村』を読んだ。
本作ではいくつもの恋愛模様がえがかれる。
典子と辰弥。
春代と辰弥。
美也子と慎太郎。
そして、鶴子と亀井陽一。
さらに、諏訪弁護士から美也子への恋情。
また、典子と辰弥がいい感じになっていることを知った慎太郎の喜び・・・
ホラーだ、ミステリーだなどという範疇は僕にはどうでもよい。
本作は恋する人間をえがく恋愛小説であり、愛する人を思って身を焦がす人間をえがく文学作品である。
『本陣殺人事件』『獄門島』『悪魔の手毬唄』という他の横溝作品とならべたとき、僕にとっては本作が一番の名作である。