■「言の葉の庭」をみた。(その1)
「言の葉の庭」を劇場でみた。(2013年6月2日(日)のことだ。)
【注意!】
本作を未見のかた、ネタバレがイヤなかたには、この記事を読まないことをおすすめします。
原作・脚本・監督:新海誠
公式サイト
本作をみるまえに、僕は予告篇動画を何度も視聴していた。
『言の葉の庭』 予告篇 "The Garden of Words" Trailer
http://www.youtube.com/watch?v=udDIkl6z8X0
そして、予告篇動画をみて感じたことを、つぎのようにツイートしている。
「ことあるごとにこの予告篇をみているのだが、僕はこの女性のほうに感情移入して泣きそうな予感がしている。」(2013年05月04日(土))
https://twitter.com/hagiwaray/status/330597708039598081
僕のこの予感はあたった。
実際に劇場で文字通りに泣いたか否かといえば、泣いてはいない。
でも、僕はこの女性に一体化するような切なさを感じずにはいられなかった。
この女性の名前は「雪野百香里」(ゆきのゆかり)。
たいする男子高校生の名前は「秋月孝雄」(あきづきたかお)。
《アルコール持ち込み禁止》とゲートに明示されている公園で酒を飲んでいる「雪野」。
頭で考えれば、僕はこういう女性は好きではない。
(なんだかなぁ)であり、興ざめである。
でもなぁ。
「雪野」がおっている苦しみ。
切ないんだ・・・
抱きしめたくなるようないとおしさを感じる。
「雪野」が足の採寸のために「孝雄」に足を差し出す。
このシーン。
なんて官能的なんだ・・・
もし僕がもっともっと若かったら、このシーンにドキドキして、二次元の彼女に本気で恋をしていたと思う。
もうそれほど若くない今の僕でも、彼女に恋心をいだいてしまう・・・
二次元の「雪野」にたいしてこういうのもなんだが、たぶん、僕は容姿の点でも彼女のような女性がものすごくタイプであるし、こんにちまでの《履歴》を負わずにいられなかった彼女の性格、心情もすごく好きだ。
そんな彼女がどうしようもない現状でなやみ、苦しんでいる・・・
でも、そこに高校生の「孝雄」があらわれる・・・
「孝雄」に靴の本をプレゼントする・・・
自分でお弁当を作ってくる・・・
こういう「雪野」がいとおしくてしかたがない。
雨でずぶ濡れになった「孝雄」は「雪野」のマンションにいく。
そこでの「雪野」のセリフ。
「靴がなくても歩けるように練習してたの。」
ここに「雪野」の素直な心情の吐露がみられると思うのだが、一見すると、靴職人を目指し、「雪野」のための靴を作ろうとしている「孝雄」へのあてつけのように解釈することも不可能ではないセリフである。「孝雄」は「あの人がたくさん歩きたくなるような靴」を作ろうとしていたのだから。
「雪野」の心の苦しみ、その苦しみの歴史を正面から受けとめることができない「孝雄」の幼さが、これ以降のシーンにあらわれでざるをえないのだとしても、僕に理解できないのは、マンションの階段での「孝雄」のセリフの厳しさである。
あそこまでのきついセリフは必要だったのか?
涙がこみ上げる女性を眼前にしての「孝雄」のあの一連のセリフは異様すぎて、僕はどう解釈したらいいかわからず、クレジットがあがっていくのをみながら、頭のなかが混乱してしまった。
短期間のものであったとはいえ「孝雄」との思い出が頭のなかによぎった「雪野」が、部屋を出て行った「孝雄」を裸足で追いかける。
僕の心がやわらかな状態であれば、涙があふれ出すようなシーンである。
心がふさがれていた「雪野」がどうしようもない衝動で突き動かされていく劇的なシーンであるはず。
でも、追いかけてきた「雪野」に対する「孝雄」のセリフはどうにも理解しがたく、僕は、正直なところ、血の気がひくといってもよいぐらいのショックをうけた。
クレジットがあがったあとのシーンで、「雪野」は新しい場所(窓の外に山が見える。実家のある四国の学校だろうか。)で教壇に立ち、「孝雄」は「雪野」の靴を完成させている。「孝雄」のもとには「雪野」からの手紙も届いている。
「孝雄」と「雪野」は今もささえあっているのだろうが、そのプロセスのひとこまが僕にはどうにも理解できなかった。
ところで、この感想文は本作を一回しかみていない状態でしるしたものである。
パンフレットを買ってきたし、劇場先行販売のBlu-ray Discも買ってきたが、どちらも未見のまま、この感想文をしるした。
というのも、初見時の感想をより純粋なかたちで記録しておきたかったからである。
セリフも引用してみたが、正確ではないと思う。
セリフを間違って聞き取っている可能性もあるから、この感想文にはまったくの誤解にもとづくものもふくまれるかもしれない。
来週も本作を劇場でみてこようと思っているので、誤解にもとづくところを発見したら、この感想文に訂正をくわえたいと思う。
誤解はないとしても、もう一度見直したら、また違った感想になるかもしれない。
再見をして、本作を精密に分析してみたいと思う。
この記事のタイトルに「(その1)」としるしたのは、あらためて感想文を掲載する可能性があるからである。
さて。
うえで僕は本作のBlu-ray Discを買ってきたとしるしたが、実は僕はBlu-rayを再生できる装置を所有していない。
こんど買ってこなきゃ。
で、そんな僕がどうして通常のDVDではなくBlu-rayを選んで買ってきたかといえば、Blu-ray版にはサントラCDが付属している上、特典映像の監督インタビューもロングバージョンが収録されているからである。
僕の希望としては、DVD版とBlu-ray版とで特典はまったく同じものにしてほしいなぁ、と思う。
本作の上映に先立って、短編「だれかのまなざし」が上映された。
「だれかのまなざし」という作品についての情報は、僕自身付け焼き刃的な知識しか持ちあわせていないから、ここにはしるさない。
感想をひとつだけ述べるとすれば。。。
娘のアパートの近くまで高級お弁当をふたつもってやってきた父親。
娘の嘘におそらくは気づいているのだろうが、なにもいわず、お弁当の袋をぶらさげて帰って行く。
娘の嘘に気づいていなかったとしても、この父親の姿はせつない。
名作がここにある。
「だれかのまなざし」はダウンロード販売でもいいから、とにかくだれもが視聴できるかたちになってほしいと思う。
「言の葉の庭」の劇場公開には「だれかのまなざし」という名作もついてくるから、この記事を読んでしまったかたには劇場に足を運ぶことをおすすめしたいと思う。
それと・・・
「だれかのまなざし」の声の出演。
クレジットに「花村怜美」さんの名前がみえたような気がするが・・・
秒速の花苗さんの声を担当した声優さんだから、僕は「花村怜美」さんの名前はしっかり覚えている。
見間違いじゃないよな。
もう一度劇場でみるとき、しっかり確認してみよう。
今回のところはこのへんで。