■TVドラマ「深夜食堂」(第5話から第7話)をみた。
TVドラマ「深夜食堂」の第5話から第7話をDVD(第2巻)で視聴した。
第5話 「バターライス」
第6話 「カツ丼」
第7話 「タマゴサンド」
第5話「バターライス」。
涙はでなかったが、いい作品だなぁと、素直に思った。
「ゴロー」と「戸山」がカウンターで一緒に「バターライス」を食べる。
「ゴロー」がご飯に醤油をかけるときのセリフ。
「ちょっとだけ。」
このみじかい言葉が、二人の思い出と結びついた、すさまじい名セリフになっている。
僕は、「バターライス」が食べたい、と強く思った。
そして、函館に戻った「ゴロー」が昔の恋人の「りつこ」とともに坂道をくだっていくシーン。
後ろ姿だけがうつる「りつこ」はほとんど年をとっていない。
はなればなれになるまえの「りつこ」のままだなぁ。
(参考:「深夜食堂」公式サイトにある、第5話の「エピソード」紹介はつぎ。http://www.meshiya.tv/episode/epi05.html)
つづく第6話「カツ丼」。
涙が出た。
正直なところ、僕はDVD第1巻に収録された第1話から第4話をさめた目で視聴し、理屈のレベルで、いい作品だと思っていた。
第5話「バターライス」で素直に心が揺り動かされたが、涙はでなかった。
つづく第6話でこんな名作が登場するとは。
本気で涙が出た。
初対面でひかれあった「カッちゃん」と「アケミ」。
連絡先を交換しあったり、展望台でデートをしたり・・・と、いい雰囲気。
「アケミ」は自分の娘の「マユ」が「カッちゃん」と親しくしているのが、うれしくてしかたがない。
それを画面でみている僕もうれしくなる。
「アケミ」と新生活をはじめることを願い、みずからのボクシング生活に区切りをつけるために、仕事をやめた「カッちゃん」。
「カッちゃん」と「アケミ」は、お互いがお互いに将来のことをまじめに考えているがゆえの不安を、それぞれがマスターに打ち明けていく。
言葉すくなくそれをうけとめるマスター。
「アケミ」は、職場のスナックでは「カッちゃん」を悪くいう客たちのまえで、にこやかに振る舞わざるをえない。
こういう場面設定に僕は弱い。
この時点ではまだ涙は出なかったが、ぼくは、人間の優しい心の動きを丁寧に描いた名作だ、と思った。
そして、試合にのぞむ「カッちゃん」を「アケミ」と「マユ」が廊下で見送るシーン。
この試合にこめた「カッちゃん」と「アケミ」の思いを知らずに、「マユ」は次のようにいう。
勝って、カツ丼食べようね。
でも、「カッちゃん」は試合に負けちゃうんだよね。
で、その日の深夜食堂。
カウンターには「カッちゃん」と「アケミ」と「マユ」。それをかこむ常連さんたち。
この日の試合で「カッちゃん」が負けたことの意味を知らないまま、「マユ」は無邪気に「カッちゃん」をなぐさめる。
それに涙をおさえきれない「カッちゃん」。
「カッちゃん」は「マユ」の求めに応じて「カツ丼」を3つ注文したのだが、マスターがつくったのは「親子丼」。
僕はここで撃沈。
そして、末尾でのお料理レシピ紹介。
「マユ」ができあがったばかりのカツ丼を奥からもってきて、カメラにむかって一礼。隣にいる「カッちゃん」と「アケミ」のまえにそれをおく。
マユ 「お待たせしました。」カッちゃん 「お肉は最後に煮るので、あげるときは、8割がた火がとおっていれば大丈夫です。」
アケミ 「くれぐれも、あげすぎには注意しましょう。」
ここで「マユ」、「カッちゃん」、「アケミ」の3人が交互にセリフをしゃべるんだよ。
このカツ丼レシピの紹介のあとが「マユ」のこんなセリフ。
つづいて親子丼のレシピを紹介します。あ、時間がありません。
わたしたちは親子になりました。
おやすみなさーい。
僕は、ここで、おさえきれない涙がドバーッと。
第6話「カツ丼」。いい作品だぁ。
(参考:「深夜食堂」公式サイトにある、第6話の「エピソード」紹介はつぎ。http://www.meshiya.tv/episode/epi06.html)
そしてそして。
つづく第7話「タマゴサンド」。
登場人物は、タレントを目指している「リサ」(演じたのは「村川絵梨」)と、新聞奨学生の「中島」(演じたのは「田中圭」)。
好き同士の二人。
でも・・・
せつない。
せつない。
せつない。
せつない。
本作、すさまじい名品。
マスターの次のセリフをみよ。
あのこはちゃんとさよならを言いにきたんだ。そんな女にほれられたってこと、誇りに思っていいんじゃないのかい。
自分が本気でほれた女、安くみるもんじゃないよ。
そして、本作の脚本のすばらしさをしめすのが、マスターの次のナレーション。
そのごも毎日中島くんは新聞を配っている。さすがにまだタマゴサンドは食べられないみたいだけど。
このナレーションでの「タマゴサンド」は、この物語の展開のなかで「タマゴサンド」がもたされた意味そのものによって、視聴者を深い感動に誘い込む。
視聴者に「タマゴサンド」へのまえもっての個人的な思い入れがあろうとなかろうと関係がない。
作品そのものの力で視聴者を感動させる、すばらしい脚本。
名作。
いい俳優だぁ。
(参考:「深夜食堂」公式サイトにある、第7話の「エピソード」紹介はつぎ。http://www.meshiya.tv/episode/epi07.html)