■「(踊る大捜査線 番外編)湾岸署婦警物語 ~初夏の交通安全スペシャル~」をみた。
「(踊る大捜査線 番外編)湾岸署婦警物語 ~初夏の交通安全スペシャル~」をDVDで視聴した。
主人公的に本作に出演している俳優と作中での人物名をしるすと、つぎのとおり(俳優名……役名(設定))。
内田有紀……篠原夏美(湾岸署交通課に配属されたばかりの新人)
渡辺えり子……桑野冴子(篠原を指導する)
本作の放送日は1998年6月19日。
僕はこの作品を一度視聴したことがある。
たぶん、テレビ放送時にオンタイムで視聴したのだと思う。
ストーリーについての記憶はない。
当時の僕も「内田有紀」という名前の芸能人のことは知っていたから、「内田有紀が出演しているドラマだ」ということだけの理解はあって、当時この放送をながめたと思う。
さて。
本作は「踊る大捜査線」の「番外編」である。
本作を視聴し始めるとすぐにわかることだが、本作のオープニングでのタイトルバックはTVシリーズ「本編」のそれをほぼ忠実になぞっており、出勤する主役(本作にあっては「篠原」)がお台場に登場してから湾岸署の敷地にはいっていくまでの一連のシーンも、本編における主役(すなわち「青島」)のお台場への登場から湾岸署までの一連のシーンをなぞっている。
いわば、パロディーである。
エンディングでのタイトルバックも本編のそれをなぞっており、本作は本編のパロディーであることを最初と最後で明確に主張してみせている。
まぁ、制作陣の遊び心なのだろう。
さてさて。
今回本作をDVDでゆったりと視聴しての感想。
正直なところ、前半は(くだらない)と思った。
だが、第二の主人公ともいえる「桑野」(演じたのは「渡辺えり子」)には、本作の後半で共感を覚えた。
共感を覚えた箇所をひとつだけ具体的にしめすとすれば、次の箇所があげられる。
新人の「篠原」(演じたのは「内田有紀」)が被疑者をミニパトで追跡することになるシーン。
「桑野」は、上司の意向にさからって、「篠原」に被疑者を追跡させようとする。
都内の道路網についての自分の知識を駆使すれば、被疑者においつくことが可能であると信じているからだ。
このとき、当該事件の捜査本部の管理官として湾岸署にきていた「新城」にむかって「桑野」はこう言い放つ。
「警視庁で交通課勤務20年と7ヶ月。都内の道路は大動脈から毛細血管まで全部この頭ん中にはいってんです!」
このあたりの「桑野」と「新城」のやりとりはつぎのとおり。
新城 「指揮をこちらに渡せ」("01:11:26"~)桑野 「警視庁で交通課勤務20年と7ヶ月。都内の道路は大動脈から毛細血管まで全部この頭ん中にはいってんです!」
(途中省略)
新城 「責任はとってもらうぞ」("01:11:48"~)
桑野 「室井さんより器がちいさいね」
警察という組織にあって女性であるところの婦警の立場に悶々としつつ、みずからが決めた「組織のルールは守り抜くというルール」を頑固に守りながら、20年以上交通課に勤務しつづけた「桑野」。
現場に生きてきたものとしてのプライドを、ゆるぎないかたちでキャリア官僚に見せつけてみせる。
「かっこいい」というありきたりの言葉では表現しきれないほどのかっこよさ。
実力をもった人間の秘めたプライドの現出には、僕は《美しさ》をおぼえる。
「桑野」の指導を受ける新人警官としての「篠原」には薄っぺらさを感じた。
「女青島」ともいわれる「篠原」だが、彼女の正しさの追求を《美しいもの》として感じ取らせるにいたるまでの組織のなかでの苦悩が、ゼロといっていいぐらいえがかれていない。
薄っぺらな行動描写にくわえて、薄っぺらな演技。
感動も共感もしようがない。
さてさてさて。
僕の視聴したDVDには「特典映像」として本作についての「予告」が収録されている。
そこでの「室井」を紹介するテロップに、かれの階級として「警視正」と表示されている。
おなじ特典映像に「登場人物紹介」があり、そこでの「室井」の階級は「警視」。
はて。
本作の物語が展開している時点での「室井」の階級はどちらなのだろうか?
とくに「新城」(階級は「警視正」)との関係において、「室井」の階級を正確に知っておくことは必要なことだと思うのだが、どっち?