■映画「バースデー・ウェディング」(その5)~ビデオテープのインデックスの文字~
本稿(その5)では、紀美子が千晴に残したビデオレターのテープの背中にかかれた文字について語ってみる。
【私は本稿を 《作品分析》 のつもりで執筆しておりますが、《ネタバレ》 と解釈することが可能な内容を含んでいるかもしれません。】
さっそくだが、問題のテープの背中に書かれているのは 「千晴5歳 思い出の海岸 千晴へ」 の文字である。
ここで黒字と青字を使い分けたのは私の恣意によるのではない。まさにこのテープの背中で黒い字と青い字が書き分けられているのである。
くどくなるが、黒字の箇所と青地の箇所をスラッシュで区切るとつぎのようになる。
スラッシュの左右でことなるのは色だけではない。PCのフォントでは再現することができないが、左右で字も違っている。ここにいう字の違いというのは、《手癖》と呼ぶべきもの、すなわち、それを書いた人間が違うということと結びついたものである。
このテープは一本だけで単独にしまわれていたわけではない。千晴0歳から5歳までのテープと同じ箱の中にしまわれていた。他のテープの背中に書かれた字は、このテープの前半分(=黒字の部分)と共通である。それはおそらく撮影担当だった通也の手によるものだろう。それとは別の字がビデオレターのテープにあらわれる。それが後半分(=青字の部分)の 「千晴へ」 だ。では、前半分の字とは別の字を書くのは誰かといえば、母親である紀美子しかいない。
このテープが、内容、形式ともに、紀美子から千晴へのメッセージになっていることが、ここからもわかるだろう。
【参考資料】
《思い出の海岸》(=ビデオレター収録)のテープが保管されていた箱には、合計で13本のテープが入っていた(テープのほかにあったのは二枚の桜貝のはいった小瓶付きのビデオカメラ)。ここで、参考資料として、それ以外のテープの背中に書かれた文字を、読み取れるものに限ってここに書き起こしておく。
(この稿、つづく)
【私は本稿を 《作品分析》 のつもりで執筆しておりますが、《ネタバレ》 と解釈することが可能な内容を含んでいるかもしれません。】
さっそくだが、問題のテープの背中に書かれているのは 「千晴5歳 思い出の海岸 千晴へ」 の文字である。
ここで黒字と青字を使い分けたのは私の恣意によるのではない。まさにこのテープの背中で黒い字と青い字が書き分けられているのである。
くどくなるが、黒字の箇所と青地の箇所をスラッシュで区切るとつぎのようになる。
千晴5歳 思い出の海岸 / 千晴へ
スラッシュの左右でことなるのは色だけではない。PCのフォントでは再現することができないが、左右で字も違っている。ここにいう字の違いというのは、《手癖》と呼ぶべきもの、すなわち、それを書いた人間が違うということと結びついたものである。
このテープは一本だけで単独にしまわれていたわけではない。千晴0歳から5歳までのテープと同じ箱の中にしまわれていた。他のテープの背中に書かれた字は、このテープの前半分(=黒字の部分)と共通である。それはおそらく撮影担当だった通也の手によるものだろう。それとは別の字がビデオレターのテープにあらわれる。それが後半分(=青字の部分)の 「千晴へ」 だ。では、前半分の字とは別の字を書くのは誰かといえば、母親である紀美子しかいない。
このテープが、内容、形式ともに、紀美子から千晴へのメッセージになっていることが、ここからもわかるだろう。
【参考資料】
《思い出の海岸》(=ビデオレター収録)のテープが保管されていた箱には、合計で13本のテープが入っていた(テープのほかにあったのは二枚の桜貝のはいった小瓶付きのビデオカメラ)。ここで、参考資料として、それ以外のテープの背中に書かれた文字を、読み取れるものに限ってここに書き起こしておく。
千晴0歳 はじめての我が家
千晴0歳 千晴とおじいちゃんとおばあちゃん
千晴1歳 誕生日 我が家で
千晴1歳 おじいちゃんとおばあちゃん家に行く 夏2
千晴2歳 誕生日 おじいちゃんとおばあちゃんもいっしょ
千晴2歳 ネコネコショー ネコニャンと千晴
千晴3歳 みつば保育園(以下不明)
…
千晴5歳 みつば保育園合唱会
(この稿、つづく)