新編 膝枕

智に働きたいと思いながら、なんかやってます。

■『洋泉社MOOK 映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』(洋泉社、2014年)

洋泉社MOOK 映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』(洋泉社、2014年)のことをすこし記録しておく。


さきに古谷版「獄門島」(1977年)、古谷版「悪魔が来りて笛を吹く」(1977年)、中尾版「本陣殺人事件」(1975年)の感想記事をこのブログに掲載したが、そのなかで「ちょっとした事情があり、その、すこし離れたところのレンタルショップにいって、本作をレンタルしてきた」としるしておいた。

この「ちょっとした事情」というのは、先日つぎの本を購入したことである。

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(※クリックすると、ポップアップで大きな画像が表示されます)

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(「※「金田一耕助」は登録商標です。」だって。知らなかったよ。書名にもしっかり(R)がついているよ。)


馬飼野元宏、大西史恵、ほか編『洋泉社MOOK 映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』洋泉社、2014年

 (2014年1月16日初版、2014年3月10日第3刷)

* * *

この本には、うえにあげた裏表紙の画像からもわかるように、「名作映像化比較研究」という章があり、たとえば「八つ墓村」「犬神家」といった、複数回映像化された作品のうちの主要なもの6作品が比較検討されている。

僕としては、どこかの誰かが執筆した比較検討記事をただ読むのではなく、いちおうは自分なりに映像を視聴したあとで比較検討記事に目をとおしたいと思った。

僕には、DVDで視聴することは可能ではあるが、まだ未見のままでいた作品がいくつかある。

それらをまずは視聴しよう。

で、上に述べたように、すこし離れたところにあるレンタルショップに足をのばした次第。

* * *

僕がこの本を購入したというのは次の事情による。

4月28日。

『迷路荘の惨劇』(角川文庫)と、もうひとつ、音楽コーナーにあるか、コミックコーナーにあるか、という本を買うのが目的で、とある本屋に足を運び、音楽コーナーをブラブラしたときのこと。

音楽コーナーはたいてい演劇、映画関係のコーナーと隣り合っている。

音楽のコーナーに目的の本はなかったが、ふと映画コーナーに目をむけたとき、この本があるのに気がついた。

なかなか興味深い編集の本だ。

で、買ってきた。

* * *

この本の奥付では「2014年1月16日初版発行」だが、執筆者のブログによれば、この本が市場にでまわりはじめたのは2013年12月16日のよし。

ミキログ

『映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』にコラムを書かせていただきました!

http://mikilog.org/yokomizo/eigahiho_kindaichi/

(公開日: 2013/12/16 : 最終更新日:2014/03/30)

奥付の日付と実際の流通の日付が異なるのはしばしばであるから、この点に目くじらを立てるつもりはない。

後世に残る資料のひとつとして、この記事のタイトルも、文字化した書誌情報も、奥付にしたがって発行年を2014年としておく。

だいたいコピーライトのクレジットが「(c) YOSENSHA 2014」とはっきり主張しているし。

でも、アマゾンのデータでは2013年12月16日が「発売日」。

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「発売日」と「発行日」は意味が違うとかなんとか。

ともかく。

書誌情報はしっかり実物にあたって確認したほうがよい事例であろう。

* * *

発行されたばかりで、だれもが定価で簡単に入手できるから、この本の細かな紹介はしない。

本書をパラパラとして僕の目にとまった箇所だけかるく紹介してみると。

(略)映画公開の前にサントラ盤を発表、音楽を担当した大野雄二は角川春樹の要望により原作を読んで感じた世界観で作曲、アルバムだけ聴いてもリスナーが納得できるものを目指した。(p.23)

ふむ。

音楽を担当する人間は当然作品をしっかり理解しておくべきだとは思うが、そのあたりまえのことを角川春樹はしっかり意識していたのか。たとえメディアミックスのイベント化が一義的な目標だったとしても、だ。

さらに。

「未発表音源を求めて」という「内田忠孝」氏のコラムがある。(p.154)

市川崑の映画「悪魔の手毬唄」ではシェーンベルクの「浄夜」を劇中で使用する予定で、録音までしていたとな。

「浄夜」は僕の好きな曲だが、意外や意外。

「浄夜」のどの部分をどのシーンで使うつもりだったのか。

問題のサントラが復刻されているようだから、およそ30分にわたるこの曲のどの箇所を録音したのかは知ることができるんだな。

片岡千恵蔵の金田一は日本刀の使用が禁じられた戦後の状況下での俳優・片岡の生き残り策だったんだな。(pp.58-59)

巻末に付された「全映画ドラマデータ」(pp.220-223)とか「金田一耕助シリーズ コミックス一覧」(p.214)とかといった基礎資料の存在が僕にはありがたい。