■映画「横道世之介」をみた。
映画「横道世之介」をDVDで視聴した。
出演:吉高由里子、ほか
公開:2013年2月、160分
本作は160分。
前半部分では登場人物たちの言動がゆるゆるでなじめず、再生して60分たたずに集中がとぎれ、コーヒーを飲んだ。
「友だち」「友だち」って、なんかなぁ。
ゆるいなぁ。
かるいなぁ。
が、それ以降、なぜか物語に引き込まれ、最後の100分ほどはあっという間に経過した。
いいなぁ、と思ったのは次のシーン。
16年後、「祥子」が「世之介」の母親から届いた郵便物をあける。
そこには、「祥子」が「世之介」の部屋で描いたイラストの紙に包まれた写真がはいっている。
ピンぼけの、なんだかよくわからない写真の群れのなかに「祥子」のポートレートが混じっている。
同じポーズで、1枚はきれいに写っているが、もう1枚は白みがかかっている。
この写真のたばの意味がその後のシーンで明らかになる。
「祥子」がフランスに2週間の留学に行くのを「世之介」が見送るんだな。
その時の写真だったんだな。
しかも、《一番最初に私にみせてほしい》という「祥子」のお願いがあって、「世之介」はそのお願いをかなえる準備をきちんとしていたんだな。
たった2週間の留学をおえた「祥子」に写真をみせることができなかった事情は作品には描かれない。
でも、みるものにはその理由は容易に推測できる。
このシーン。
どこまでも人の良い「世之介」の「世之介らしさ」が出ているなぁと思う。
「世之介」が死んだのも人を助けようとしたことの結果だったのだ。
「世之介らしさ」なんだよなぁ。
僕が本作を視聴したのは虎馬氏のブログの次の記事を拝読したことによる。
(掲載日:2013年08月09日)
虎馬氏は劇場で本作を視聴しての感想記事を2月と3月に自身のブログにいくつか掲載されており、僕はそれを拝読し、本作の存在は知っていたが、今回僕が本作を視聴した直接のきっかけは上述した「DVD版~」の記事である。
氏の解釈で(ああ、そうか)と思ったのは、次の箇所。
それは病室で「祥子」と「世之介」が呼び捨てで呼び合うシーン。向こう側には「祥子」の家のお手伝いさんがいて、涙ぐんでいる。
家柄の違いから ある程度付き合ってはいけてもこの恋愛は成就できないことがわかっている不憫な気持ちからなのかも。
あけっぴろげに「腹違いの」といってのける「祥子」。
単純に世間知らずの、悪意のない無邪気さゆえなのか。
そんな「祥子」は16年後のいまはアフリカで援助活動をしているようだ。
「祥子」の性格の造形を確かめてみたい。
虎馬氏のおすすめにしたがって、原作を読んで、映画でははしょられた部分をしっかり確認してみようと思う。