■TVドラマ「SPEC」(甲の回、乙の回)をみた。
TVドラマ「SPEC」の「甲の回」と「乙の回」をDVD(第1巻)で視聴した。
演出:堤幸彦
脚本:西荻弓絵
放送年:2010年、TBS
甲の回 「魔弾の射手」
乙の回 「天の双眸」
公式サイト:
金曜ドラマ「SPEC(スペック) ~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」|TBSテレビ
(http://www.tbs.co.jp/spec2010/)
本作は1999年に放送されたドラマ「ケイゾク」の世界観を引き継いだ作品である。
天才的頭脳をもった刑事が難事件を解決するなど、物語の設定、登場人物と組織の設定の点で部分的に「ケイゾク」のそれを引き継いでいるだけでなく、演出の「堤幸彦」をはじめ、プロデューサー、脚本家を「ケイゾク」と同じくしている。
「SPEC」が内容的に「ケイゾク」とどの程度の連絡をもっているのか、という点については、「SPEC」を視聴する前の僕はまったくの無知であった。
本作が「ケイゾク」の続編的作品であることだけを知っていた僕は、本作を視聴しはじめる前に「ケイゾク」を視聴したが、そうしたのは、「ケイゾク」と「SPEC」のあいだにある連絡の程度とは無関係に、僕のポリシーとして、《続編》のまえに《正編》を知っておくことが必要であったからである。
「ケイゾク」を視聴しての感想は、独立した記事にして、このブログに掲載してある。
その感想記事で書いたとおり、正直なところ、「ケイゾク」を視聴するのは、ぼくにとって、苦痛であった。
どうにか「ケイゾク」を視聴し終えて、「SPEC」を視聴し始めた。
そして、いだいた感想は・・・
楽しい。
「戸田恵梨香」、いい。
脚本、セリフ、いい。
笑いのセンス、いい。
「有村架純」さん、いい。
物語の展開の、このワクワク感。
楽しい。
「ケイゾク」の感想記事のなかでも書いたことだが、僕は殺人事件を題材にふくみもつ作品は「そもそも」のレベルで好きではない。
「SPEC」も殺人事件を題材にもつ。
しかし、この楽しさはなんだ。
このワクワク感はなんだ。
僕の好きな笑いのセンスは次のようなところ。
(1)
「甲の回」
財布をもたないまま大食いをした「当麻」が、食堂の店主につれられて、「ミショウ」にやってくる。
店主は「1万600円」を請求する。
それに応じて「野々宮係長」が食堂の店主にお札を2枚渡すのだが。
それに対するおつりが「300円」・・・とか。
(2)
「甲の回」
(「瀬文」イスのうえに立って)瀬文 「当麻、インチキな予言に惑わされるな。毒殺という言葉に振り回されると、警備の本質を見失うぞ。」
当麻 「うわっ、うえから。」
(「瀬文」イスから降りる)
・・・というやりとりとか。
(3)
「乙の回」
「当麻」がトリックを説明するところ。
(「板野」が犯人)
当麻 「まだ聞きたいですか?」
板野 「巻きでお願いします。」
・・・というところとか。
(4)
「甲の回」「乙の回」ともに。
「当麻」がトリックを見破るために毛筆で事件のキーワードを書き出すシーン。
漢字が書けない、漢字を間違える。
・・・というところとか。
笑いの細かな技が光る。
こういう笑い、僕は好きだ。
(5)
それと、これは《笑い》に属することではないだろうけど、履歴書のインチキ性における細かな芸とか。
つぎは「甲の回」での犯人の履歴書の「学歴」("00:49:23")。
昭和57年3月 東京都西荻窪中学校卒業昭和57年4月 東京都立杉並西高等学校入学
昭和59年3月 東京都立杉並西高等学校卒業
昭和59年4月 千葉西南大学医学部入学
平成元年3月 千葉西南大学医学部卒業
・・・高等学校を2年で卒業してますねぇ。医学部を5年で卒業してますねぇ。(彼は昭和42年6月の生まれだから、中学卒業までは順当だなぁ。)
このシーンでの履歴書の登場は、犯人である「脇」の医師あるいは医学生としての経歴をしめすものであるから、「学歴」欄での整合性の保持はどうでもよいものであるかもしれない。
制作陣の遊び心がかいま見えて、僕は楽しくなる。
主演「戸田恵梨香」。
そもそも僕が「SPEC」をみようと思ったのは、本作に「戸田恵梨香」が出演しているからである。
映画「阪急電車」で「戸田恵梨香」にひきつけられた僕は、彼女の出演作をもうすこしみたいと思った。
本作では「戸田恵梨香」はかなり奇抜な人間を演じていることは知っていた。
いろんな姿の彼女を見たい、とおもった。
(「堤幸彦」の演出にも興味があるが、「SPEC」を僕が視聴する理由としては、それは二次的である。)
「戸田恵梨香」、いい表情しているなぁ。
生き生きしている。
一介の人間としてすごく好きだ。
「有村架純」さん。
「野々村係長」の愛人の「雅ちゃん」を演じている。
なんて魅力的な俳優さんなんだ。
そして、本作の外見的特徴として、「ケイゾク」とはうってかわって、あかるい画面。
とても見やすい。
なかなかいいドラマだ。
「つづきをみるのが楽しみだ」と心から思える作品だ。