新編 膝枕

智に働きたいと思いながら、なんかやってます。

■TVドラマ「SPEC」(甲の回、乙の回)をみた。

TVドラマ「SPEC」の「甲の回」と「乙の回」をDVD(第1巻)で視聴した。


 出演:戸田恵梨香有村架純、ほか

 演出:堤幸彦

 脚本:西荻弓絵

 放送年:2010年、TBS

 甲の回 「魔弾の射手

 乙の回 「天の双眸」

公式サイト:

金曜ドラマ「SPEC(スペック) ~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」|TBSテレビ

http://www.tbs.co.jp/spec2010/

* * *

本作は1999年に放送されたドラマ「ケイゾク」の世界観を引き継いだ作品である。

天才的頭脳をもった刑事が難事件を解決するなど、物語の設定、登場人物と組織の設定の点で部分的に「ケイゾク」のそれを引き継いでいるだけでなく、演出の「堤幸彦」をはじめ、プロデューサー、脚本家を「ケイゾク」と同じくしている。

「SPEC」が内容的に「ケイゾク」とどの程度の連絡をもっているのか、という点については、「SPEC」を視聴する前の僕はまったくの無知であった。

本作が「ケイゾク」の続編的作品であることだけを知っていた僕は、本作を視聴しはじめる前に「ケイゾク」を視聴したが、そうしたのは、「ケイゾク」と「SPEC」のあいだにある連絡の程度とは無関係に、僕のポリシーとして、《続編》のまえに《正編》を知っておくことが必要であったからである。

ケイゾク」を視聴しての感想は、独立した記事にして、このブログに掲載してある。

その感想記事で書いたとおり、正直なところ、「ケイゾク」を視聴するのは、ぼくにとって、苦痛であった。

どうにか「ケイゾク」を視聴し終えて、「SPEC」を視聴し始めた。

そして、いだいた感想は・・・

楽しい。

戸田恵梨香」、いい。

脚本、セリフ、いい。

笑いのセンス、いい。

有村架純」さん、いい。

物語の展開の、このワクワク感。

楽しい。

* * *

ケイゾク」の感想記事のなかでも書いたことだが、僕は殺人事件を題材にふくみもつ作品は「そもそも」のレベルで好きではない。

「SPEC」も殺人事件を題材にもつ。

しかし、この楽しさはなんだ。

このワクワク感はなんだ。

僕の好きな笑いのセンスは次のようなところ。

(1)

「甲の回」

財布をもたないまま大食いをした「当麻」が、食堂の店主につれられて、「ミショウ」にやってくる。

店主は「1万600円」を請求する。

それに応じて「野々宮係長」が食堂の店主にお札を2枚渡すのだが。

それに対するおつりが「300円」・・・とか。

(2)

「甲の回」

(「瀬文」イスのうえに立って)

瀬文 「当麻、インチキな予言に惑わされるな。毒殺という言葉に振り回されると、警備の本質を見失うぞ。」

当麻 「うわっ、うえから。」

(「瀬文」イスから降りる)

・・・というやりとりとか。

(3)

「乙の回」

「当麻」がトリックを説明するところ。

(「板野」が犯人)

当麻 「まだ聞きたいですか?」

板野 「巻きでお願いします。」

・・・というところとか。

(4)

「甲の回」「乙の回」ともに。

「当麻」がトリックを見破るために毛筆で事件のキーワードを書き出すシーン。

漢字が書けない、漢字を間違える。

・・・というところとか。

笑いの細かな技が光る。

こういう笑い、僕は好きだ。

(5)

それと、これは《笑い》に属することではないだろうけど、履歴書のインチキ性における細かな芸とか。

つぎは「甲の回」での犯人の履歴書の「学歴」("00:49:23")。

昭和57年3月 東京都西荻窪中学校卒業

昭和57年4月 東京都立杉並西高等学校入学

昭和59年3月 東京都立杉並西高等学校卒業

昭和59年4月 千葉西南大学医学部入学

平成元年3月 千葉西南大学医学部卒業

・・・高等学校を2年で卒業してますねぇ。医学部を5年で卒業してますねぇ。(彼は昭和42年6月の生まれだから、中学卒業までは順当だなぁ。)

このシーンでの履歴書の登場は、犯人である「脇」の医師あるいは医学生としての経歴をしめすものであるから、「学歴」欄での整合性の保持はどうでもよいものであるかもしれない。

制作陣の遊び心がかいま見えて、僕は楽しくなる。

* * *

主演「戸田恵梨香」。

そもそも僕が「SPEC」をみようと思ったのは、本作に「戸田恵梨香」が出演しているからである。

映画「阪急電車」で「戸田恵梨香」にひきつけられた僕は、彼女の出演作をもうすこしみたいと思った。

本作では「戸田恵梨香」はかなり奇抜な人間を演じていることは知っていた。

いろんな姿の彼女を見たい、とおもった。

(「堤幸彦」の演出にも興味があるが、「SPEC」を僕が視聴する理由としては、それは二次的である。)

戸田恵梨香」、いい表情しているなぁ。

生き生きしている。

一介の人間としてすごく好きだ。

有村架純」さん。

「野々村係長」の愛人の「雅ちゃん」を演じている。

なんて魅力的な俳優さんなんだ。

そして、本作の外見的特徴として、「ケイゾク」とはうってかわって、あかるい画面。

とても見やすい。

なかなかいいドラマだ。

「つづきをみるのが楽しみだ」と心から思える作品だ。